阪神ドラ1・近本、吉田義男に並ぶ119安打達成
2019年08月11日
8/11、デイリースポーツ3面より
一塁ベース上でベンチに向けて右拳を突き上げた。二回、同点に追いつきなおも2死一、三塁の場面。目の前のチャンスを無駄にはしなかった。今季119度目の快音を響かせ、超満員のスタンドを沸かせた阪神・近本(動画)。一時勝ち越しとなる一打で、球団新人では、1953年の吉田義男氏に並んだ。
「投手はストライクがほしい場面だったので、甘い球なら打ちにいこうと思っていた」。鋭く反応したのは、左腕・床田が投じた2球目のスライダー。捕手の構えとは逆球で、内に入ってきた一球を逃さずに捉えた。鋭い打球は一、二塁間を破り右前へ。三走・梅野が生還し、攻め時を逃さず一気に勝ち越しまで持って行った。
1年目から奮闘する若虎に大先輩はエールを送る。吉田氏は「本当によくやっています。私と同じ小さい体でひたむきに取り組む姿は頼もしい。私の記録が後輩たちに抜かれていくのは本望です。残り少ないシーズンだが、最後まで引き締めながらプレーを続け、絶対に新人王をとってくれるものと信じています」とさらなる成長に期待を寄せた。
記録に対してこだわりはないが、大先輩には大学時代に触れたことがある。フランス語を学んでいた時に調べたのが、阪神の名ショートで球団唯一の日本一へ導いた名将。「フランス代表の監督をされて、現地で野球文化を発展されたということも知りました」と、偉業に感銘を受けたこともある存在だ。
「(新人記録は)初めて聞きました。チームに貢献できるように頑張りたい」と近本は力を込めた。手にしたいのは、個人記録よりもチームの勝利。その思いが結果的に記録へとつながる。猛虎の歴史を駆け上がる近本の勢いは、まだまだ衰えない。
(8月10日 セ・リーグ 阪神 6-5 広島)
下は2018ドラフトで阪神が指名した選手です、1位・近本君のスカウト評はこちら
2018阪神ドラフト1位 近本光司 大阪ガス・外野手・動画 |
一塁ベース上でベンチに向けて右拳を突き上げた。二回、同点に追いつきなおも2死一、三塁の場面。目の前のチャンスを無駄にはしなかった。今季119度目の快音を響かせ、超満員のスタンドを沸かせた阪神・近本(動画)。一時勝ち越しとなる一打で、球団新人では、1953年の吉田義男氏に並んだ。
「投手はストライクがほしい場面だったので、甘い球なら打ちにいこうと思っていた」。鋭く反応したのは、左腕・床田が投じた2球目のスライダー。捕手の構えとは逆球で、内に入ってきた一球を逃さずに捉えた。鋭い打球は一、二塁間を破り右前へ。三走・梅野が生還し、攻め時を逃さず一気に勝ち越しまで持って行った。
1年目から奮闘する若虎に大先輩はエールを送る。吉田氏は「本当によくやっています。私と同じ小さい体でひたむきに取り組む姿は頼もしい。私の記録が後輩たちに抜かれていくのは本望です。残り少ないシーズンだが、最後まで引き締めながらプレーを続け、絶対に新人王をとってくれるものと信じています」とさらなる成長に期待を寄せた。
記録に対してこだわりはないが、大先輩には大学時代に触れたことがある。フランス語を学んでいた時に調べたのが、阪神の名ショートで球団唯一の日本一へ導いた名将。「フランス代表の監督をされて、現地で野球文化を発展されたということも知りました」と、偉業に感銘を受けたこともある存在だ。
「(新人記録は)初めて聞きました。チームに貢献できるように頑張りたい」と近本は力を込めた。手にしたいのは、個人記録よりもチームの勝利。その思いが結果的に記録へとつながる。猛虎の歴史を駆け上がる近本の勢いは、まだまだ衰えない。
(8月10日 セ・リーグ 阪神 6-5 広島)
下は2018ドラフトで阪神が指名した選手です、1位・近本君のスカウト評はこちら
阪神の2018ドラフト指名選手 | |||
× | 藤原 恭大 | ||
× | 辰己 涼介 | ||
1位 | 近本 光司 | 大阪ガス | 外野手 |
2位 | 小幡 竜平 | 延岡学園高 | 内野手 |
3位 | 木浪 聖也 | ホンダ | 内野手 |
4位 | 斎藤 友貴哉 | ホンダ | 投手 |
5位 | 川原 陸 | 創成館高 | 投手 |
6位 | 湯浅 京己 | BC富山 | 投手 |
育1 | 片山 雄哉 | BC福井 | 捕手 |
スカウトの逆襲、佐々木朗希(大船渡)
8/11、日刊ゲンダイ27面「スカウトの逆襲」より
日本の情報提供者から電話がかかってきた。現在は甲子園大会の真っ最中。大阪は連日、35度を超す猛烈な暑さが続いているそうだ。勝ち上がるごとに日程はタイトになり、投手は連投を強いられる。ネット裏のプロ野球のスカウトも、金の卵が潰れないかヒヤヒヤらしい。
米国の高校生の大会が行われるのは週末に限られるし、9回でなく7回制。選手の体を考慮しているからだが、日本はなぜ、戦前から続く旧態依然としたシステムを変えようとしないのか。地方大会をもっと早い時期に始めたり、甲子園大会にしてもベスト8が出そろった時点で解散、1週間後に再開したりすることはできないのか。
情報提供者とそんな話をしていて、ふと、心配になったのが100マイル(161キロ)の剛速球を投げる大船渡・佐々木朗希(動画)のことだ。
岩手大会の決勝を回避して敗退。大阪のうだるような暑さの中、肩や肘を酷使せずに済んだのは幸いだが、今月下旬には韓国でU18のワールドカップが行われる。情報提供者によれば、週明けにも代表メンバーの選考会があるらしいが、佐々木はおそらく選ばれるというのだ。
岩手大会決勝で投げなかった理由を、大船渡の監督は「故障する確率が高いと判断した」と説明したという。しかし、甲子園出場のかかった試合で登板しなかったということは、すでに肩か肘を痛めている可能性もある。
昨秋は股関節を痛めているそうだし、肩肘でなければ、それ以外の部分が悲鳴を上げていたのかもしれない。なにしろ4回戦では160キロをマークして194球も投げていたのだ。米国であればメディアが「abuse(虐待)」と大騒ぎするところだ。
仮にU18のメンバーに選ばれたとしても、佐々木には辞退してもらいたいというか、辞退すべきだと思う。
日本人は日の丸を背負ったスポーツの国際大会が大好きだ。ファンは注目するし、首脳陣も何より勝利を優先した選手起用をする。大阪桐蔭の藤浪(現阪神)や秀岳館の田浦(現ソフトバンク)は3連投を経験。作新学院の今井(現西武)は直前の甲子園で616球を投げているにもかかわらず、台湾との決勝戦に先発して5回を投げた。
わたしの横のメジャースカウトは、試合前だというのにブルペンで100球近く投げ込む今井を制止しようともしなかった日本ベンチを指さして「人殺し!」と叫んだくらいだ。韓国に行く以上、フル回転を覚悟しなければならないが、故障の可能性もある体で勝利最優先の起用に耐えられるとは思えない。その将来を考えても、佐々木はやはり出場を辞退すべきだと思う。
佐々木君のスカウト評はこちら
佐々木君のピッチング動画はこちら
佐々木 朗希 (大船渡高・投手) 189cm・右投右打・動画 |
日本の情報提供者から電話がかかってきた。現在は甲子園大会の真っ最中。大阪は連日、35度を超す猛烈な暑さが続いているそうだ。勝ち上がるごとに日程はタイトになり、投手は連投を強いられる。ネット裏のプロ野球のスカウトも、金の卵が潰れないかヒヤヒヤらしい。
米国の高校生の大会が行われるのは週末に限られるし、9回でなく7回制。選手の体を考慮しているからだが、日本はなぜ、戦前から続く旧態依然としたシステムを変えようとしないのか。地方大会をもっと早い時期に始めたり、甲子園大会にしてもベスト8が出そろった時点で解散、1週間後に再開したりすることはできないのか。
情報提供者とそんな話をしていて、ふと、心配になったのが100マイル(161キロ)の剛速球を投げる大船渡・佐々木朗希(動画)のことだ。
岩手大会の決勝を回避して敗退。大阪のうだるような暑さの中、肩や肘を酷使せずに済んだのは幸いだが、今月下旬には韓国でU18のワールドカップが行われる。情報提供者によれば、週明けにも代表メンバーの選考会があるらしいが、佐々木はおそらく選ばれるというのだ。
岩手大会決勝で投げなかった理由を、大船渡の監督は「故障する確率が高いと判断した」と説明したという。しかし、甲子園出場のかかった試合で登板しなかったということは、すでに肩か肘を痛めている可能性もある。
昨秋は股関節を痛めているそうだし、肩肘でなければ、それ以外の部分が悲鳴を上げていたのかもしれない。なにしろ4回戦では160キロをマークして194球も投げていたのだ。米国であればメディアが「abuse(虐待)」と大騒ぎするところだ。
仮にU18のメンバーに選ばれたとしても、佐々木には辞退してもらいたいというか、辞退すべきだと思う。
日本人は日の丸を背負ったスポーツの国際大会が大好きだ。ファンは注目するし、首脳陣も何より勝利を優先した選手起用をする。大阪桐蔭の藤浪(現阪神)や秀岳館の田浦(現ソフトバンク)は3連投を経験。作新学院の今井(現西武)は直前の甲子園で616球を投げているにもかかわらず、台湾との決勝戦に先発して5回を投げた。
わたしの横のメジャースカウトは、試合前だというのにブルペンで100球近く投げ込む今井を制止しようともしなかった日本ベンチを指さして「人殺し!」と叫んだくらいだ。韓国に行く以上、フル回転を覚悟しなければならないが、故障の可能性もある体で勝利最優先の起用に耐えられるとは思えない。その将来を考えても、佐々木はやはり出場を辞退すべきだと思う。
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DeNAドラ2・伊藤、衝撃の2打席連続本塁打
8/11、デイリースポーツ5面より
力強い弾道が左翼席へ伸びる。新たに現れたヒーローのフルスイングにスタジアムが揺れた。DeNAドラフト2位・伊藤裕季也内野手(動画)がプロ初先発で初アーチ。さらに2打席連発で同点2ランを八回に放ち、勝利に貢献した。
衝撃は1-3の六回だった。先頭の打席で、小笠原の内角高め直球にやや詰まりながらもパワーで運んだ。「入るとは思わなかった」と少し驚いたような表情で、軽快にダイヤモンドを一周した。2-4の八回は無死一塁からロドリゲスの151キロを捉えた。「野球人生で2打席連続は初めて」と振り返る同点2ランが流れを呼び込み九回のサヨナラ劇へつながった。
3月、中日とのオープン戦。第1打席で一塁ライン際へ放った飛球を、ファウルと判断して走らなかった。打球はフェアゾーンへ落ちて一塁アウト。ラミレス監督から「受け入れがたいプレー」と即刻交代を命じられた。この経験を伊藤裕は「野球を辞めるまで、忘れてはいけない」と胸に刻んだ。
それから5カ月。くしくも同じ中日戦で、全力プレーを見せた。指揮官は称賛しつつ、「これだけ打つと相手も分析してくる。彼が今後どう対応していくか」とさらなる進化を求めた。将来の大砲候補が強烈なインパクトを残した。
(8月10日 セ・リーグ DeNA 5-4 中日)
下は2018ドラフトでDeNAが指名した選手です。2位指名・伊藤君のスカウト評はこちら
2018DeNAドラフト2位 伊藤裕季也 立正大・二塁手・動画 |
力強い弾道が左翼席へ伸びる。新たに現れたヒーローのフルスイングにスタジアムが揺れた。DeNAドラフト2位・伊藤裕季也内野手(動画)がプロ初先発で初アーチ。さらに2打席連発で同点2ランを八回に放ち、勝利に貢献した。
衝撃は1-3の六回だった。先頭の打席で、小笠原の内角高め直球にやや詰まりながらもパワーで運んだ。「入るとは思わなかった」と少し驚いたような表情で、軽快にダイヤモンドを一周した。2-4の八回は無死一塁からロドリゲスの151キロを捉えた。「野球人生で2打席連続は初めて」と振り返る同点2ランが流れを呼び込み九回のサヨナラ劇へつながった。
3月、中日とのオープン戦。第1打席で一塁ライン際へ放った飛球を、ファウルと判断して走らなかった。打球はフェアゾーンへ落ちて一塁アウト。ラミレス監督から「受け入れがたいプレー」と即刻交代を命じられた。この経験を伊藤裕は「野球を辞めるまで、忘れてはいけない」と胸に刻んだ。
それから5カ月。くしくも同じ中日戦で、全力プレーを見せた。指揮官は称賛しつつ、「これだけ打つと相手も分析してくる。彼が今後どう対応していくか」とさらなる進化を求めた。将来の大砲候補が強烈なインパクトを残した。
(8月10日 セ・リーグ DeNA 5-4 中日)
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DeNAの2018ドラフト指名選手 | |||
× | 小園 海斗 | ||
1位 | 上茶谷 大河 | 東洋大 | 投手 |
2位 | 伊藤 裕季也 | 立正大 | 内野手 |
3位 | 大貫 晋一 | 新日鉄住金鹿島 | 投手 |
4位 | 勝又 温史 | 日大鶴ヶ丘高 | 投手 |
5位 | 益子 京右 | 青藍泰斗高 | 捕手 |
6位 | 知野 直人 | BC新潟 | 内野手 |
育1 | 宮城 滝太 | 滋賀学園高 | 投手 |
常田唯斗(飯山)、中日「来年追い掛けたい素材」
2019年08月10日
8/10、中日スポーツ8面より
力の差を見せつけられた。春夏通じて初出場の飯山に対して、相手の仙台育英は今大会最多28度目出場。苦戦は想定していたが、19点差の大敗はショックが大きかった。「普段なら考えられないようなプレーが起きる。少しずつ傷口を広げてしまった」。古池監督は、ぼう然とした表情で振り返った。
3回に主将の1番・大川の適時打で先制。だが、直後に守備の中継ミスも絡んで逆転を許した。その後は相手の強打を食い止められなかった。
注目の2年生右腕、常田唯斗投手(動画)は、4回途中から3番手で登板。5回は不運な当たりもあったが、9安打と2失策が絡んで10失点と、なすすべがなかった。「暑さもあって、我慢できなかった。こんなに打たれたのは初めて」と常田。4イニング1/3で14安打13失点(自責9)。121球の甲子園デビュー戦はほろ苦い経験となった。
だが、5回に自己最速を1キロ更新する144キロを計測。7三振を奪った。181センチの長身。しなやかなフォームから投げ込むストレートは、スカウト陣をうならせた。中日・音スカウトは「カウントを整えられる変化球をもう一つ覚えれば全然違う。球自体はいい。新チームでも追い掛けたい素材」と評価する。
「同学年の仲間と戻ってきて、来年は148キロを出したい」。大敗の悔しさを忘れずに、もう一度、甲子園に帰ってくる。
(8月9日 甲子園大会1回戦 仙台育英 20-1 飯山)
常田君のピッチング動画はこちら
常田 唯斗 (飯山高・投手) 181cm・右投右打・動画 |
力の差を見せつけられた。春夏通じて初出場の飯山に対して、相手の仙台育英は今大会最多28度目出場。苦戦は想定していたが、19点差の大敗はショックが大きかった。「普段なら考えられないようなプレーが起きる。少しずつ傷口を広げてしまった」。古池監督は、ぼう然とした表情で振り返った。
3回に主将の1番・大川の適時打で先制。だが、直後に守備の中継ミスも絡んで逆転を許した。その後は相手の強打を食い止められなかった。
注目の2年生右腕、常田唯斗投手(動画)は、4回途中から3番手で登板。5回は不運な当たりもあったが、9安打と2失策が絡んで10失点と、なすすべがなかった。「暑さもあって、我慢できなかった。こんなに打たれたのは初めて」と常田。4イニング1/3で14安打13失点(自責9)。121球の甲子園デビュー戦はほろ苦い経験となった。
だが、5回に自己最速を1キロ更新する144キロを計測。7三振を奪った。181センチの長身。しなやかなフォームから投げ込むストレートは、スカウト陣をうならせた。中日・音スカウトは「カウントを整えられる変化球をもう一つ覚えれば全然違う。球自体はいい。新チームでも追い掛けたい素材」と評価する。
「同学年の仲間と戻ってきて、来年は148キロを出したい」。大敗の悔しさを忘れずに、もう一度、甲子園に帰ってくる。
(8月9日 甲子園大会1回戦 仙台育英 20-1 飯山)
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