佐々木麟太郎(花巻東)、米国大学へ電撃訪問の舞台裏
2023年09月22日

佐々木麟太郎(花巻東高・一塁手) 183cm・右投左打・動画 |
プロか、それとも大学進学か──12球団のスカウトや大学関係者をヤキモキさせている高校通算140本塁打の花巻東・佐々木麟太郎(動画)に新たな選択肢が浮上した。大学は大学でも米国の野球強豪校に進学するプランだ。米球界関係者がこう言った。
「麟太郎は先週の金曜時点で米国にいたという話です。元レイズのデビッド・プライス、現カブスのダンズビー・スワンソンらメジャーのドラフト1巡目指名選手を輩出したバンダービルト大に足を運んでいる。おそらく施設などを見学したのでしょう。敏腕代理人であるスコット・ボラス氏の事務所がアテンドしたそうです。ボラス氏は花巻東の先輩の菊池雄星(ブルージェイズ)の代理人だけに、菊池の紹介があったのかもしれません」
新たな選択肢とはつまり、米国の大学を経由してのメジャー挑戦だ。花巻東OBの菊池や大谷翔平(エンゼルス)は、高校時代からメジャー挑戦を視野に入れていた。結果として日本ハムに入団した大谷にしても、当初は高校から直接メジャーに挑戦すると公言したくらい。
佐々木がいまやバリバリのメジャーリーガーとなった2人のOBの背中を追いたいと考えるのは自然なこと。本人には、いずれメジャーでプレーしたいという強い希望があるといわれる。「佐々木が米国の大学に進学した場合、最短2年でメジャー挑戦できるのです」と、メジャー球団のスカウトがこう続ける。
「米国の大学に2年間在籍、なおかつ21歳以上の選手は、7月に行われるメジャーのドラフトの対象になる。4月生まれで現在18歳の佐々木は来年9月に19歳で入学、2年後の4月で21歳になりますからね。2年間でドラフトの対象選手になるには、それなりの結果が求められますが、それがムリでも3、4年時にもチャンスはありますから」
問題は2年間、あるいは4年かけてメジャーが注目する選手になれるかどうだが、
「走れないうえに守れない。メジャーに挑戦するのであれば、ゆくゆくは年に30~40本塁打が期待できるような下地をつくることですが、いまのままでは厳しいと言わざるを得ません。内角速球を苦にするのは、体のキレがないから。184センチ、113キロは明らかに太り過ぎですよ。食欲旺盛と聞きましたけど、米国の食べ物は日本以上に高カロリーだし、よほど節制しないと、今以上に太ってしまう。膝や腰の故障も心配です」とは前出のスカウトだ。
佐々木は20日現在、プロ志望届を提出していない。大学進学か、プロ入りか、まだ結論が出ていないからだろう。大学進学は父親でもある花巻東の佐々木洋監督の意向が大きいといわれる。選手として未熟なだけでなく、長い人生において大学くらいは出ておいた方がプラスになる、と考えているのかもしれない。
そんな父親の意向もあるのか、佐々木本人は当初、プロか進学か逡巡していたが、今年に入って気持ちがプロ入りに傾いたという。佐々木監督は最終的に本人の意思に任せるつもりらしいが、進学を勧める父親と、プロに行きたい本人の意見は平行線をたどり、2人はうまくいっていないというウワサまであるほどなのだ。マスコミ関係者がこう言う。
「米国の大学への進学は両者の折衷案とも言える。大学に行ってさまざまな経験を積みながら、なおかつ2年で念願といわれるメジャーに挑戦できる可能性があるのですから」
今年のドラフトは10月26日、その対象となるプロ志望届の締め切りは10月12日だ。「佐々木獲得に最も熱心だったのは早稲田大と明治大。このうち明大は、佐々木がプロ志望届を提出するまで枠を空けて待つらしい」とはセ・リーグ球団のスカウト。新たな選択肢が浮上した佐々木の決断に、プロも大学も注目している。


滝田一希(星槎道都大)に6球団、中日・楽天が高評価
2023年09月21日

滝田一希(星槎道都大・投手) 183cm・左投左打・動画 |
プロ志望届を提出している星槎道都大の最速153キロ左腕・滝田一希(動画)が、7回2/3を6安打2失点で今秋初勝利。ドラフト前最終登板になる可能性もある一戦で、スカウト陣に猛アピールした。
左でん部を痛めた影響で約3か月ぶりの公式戦登板だった15日の北海道大戦から中4日で先発マウンドに上がった。同戦では3回4四球と制球面で課題を残したが「高めに浮かないように、コースを意識するように」修正し、この日はわずか1四球。
得意の土が硬いマウンドも味方に付け、2回には150キロをマークした。110キロ前後のチェンジアップも織り交ぜながら8回途中まで112球を投げ抜いた。
バックネット裏では地元の日本ハムなど6球団のスカウトが視察した。楽天・後関スカウト部長は「まっすぐの勢い、角度は(同じ左腕で、ドラフト1位候補の国学院大)武内と良い勝負」と評価。中日・八木スカウトは「きょうの投球なら1軍でも投げられるレベル。まっすぐとチェンジアップだけでも試合を作れる」と絶賛した。
21日の最終戦を残して北海学園大が優勝したため、この試合が大学野球とドラフト前ラスト登板になる可能性もある。滝田は「最後の登板だったのでいろんな感情があった。最後に良いところを見せて終われたんじゃないかな。(けがは)完璧に治ったので、再発しないようにこれからの生活を過ごしていきたい」と話した。
(9月20日 札幌六大学野球 星槎道都大 4―2 札幌大)


津田啓史(三菱重工East)に4球団、巨人が高評価

津田啓史(三菱重工East・遊撃手) 181cm・右投右打・動画 |
今秋ドラフト候補の1人、三菱重工East・津田啓史内野手(動画)が「1番・遊撃」で出場。先制の2点適時二塁打を含む2安打3打点の活躍で存在感を示した。
初回、先頭の第1打席。相手先発・林の3球目を強く振り抜くと、左越え二塁打を放ち、好機を演出。続く、2回2死二、三塁では、右中間を破る先制の2点適時二塁打でチームを牽引した。
ネット裏には4球団のスカウトが集結。巨人・森中スカウトは「ピッチャーによって考え方を変えられる器用なバッター。走攻守すべてにおいて高いレベルにある」と貴重な右打者の遊撃手を高く評価した。
2打席連続となった二塁打を「1打席目真っすぐを打って、(2打席目の)配球を変えてくると思った。変化球待ちに変えた結果、いい方向に飛んでいった」と振り返った津田。
肩の強さと走力がアピールポイントだと語る高卒3年目の若武者は「自分を出すだけというかありのままの自分を見てもらうだけ」と約1か月後のドラフトに向け、力強く語った。
(9月20日 関東選抜リーグ戦 三菱重工East 9―1 エイジェック)
