高校野球の名門・横浜、大学スポーツ推薦のウラ話
2017年06月04日
6/5、日刊ゲンダイ39面「小倉清一郎の鬼の秘伝書」より
東京六大学野球で立大が35季ぶりに優勝し、教え子を思い出した。横浜高時代に進路を指導した松崎健造(立大3年)が外野手として試合に出場している。野球の技量より中学の成績が「オール5」に近い秀才で、高浜祐仁(現日本ハム)と一緒に横浜高に入学した変わり種。
高2の夏に桐光学園3年だった松井裕樹(現楽天)から3安打して勝利に貢献し、3年時は主将を務めた。最初の進路相談で、青山学院大が希望と言った。私は反対した。当時の青学大は東都リーグ1部所属。野球のレベルが高く、選手は精鋭揃い。試合に出られない可能性が高いとみた。
「おまえは立教か筑波(首都リーグ)が向いている」と勧めると、「立教にします」と言う。推薦入試でも学力が求められるが、松崎は問題なかった。
大手マスコミのカメラマンをやりながら、立大野球部のスカウトを兼ねている人物がいる。立大が目をつけた選手がいると、その人を通じて打診がある。ただ、成績が悪い場合、「その学力では無理ですね」とはっきり言われることもある。
現在は社会人野球の東芝で活躍する松本幸一郎は、立大で主将を務めた。横浜高時代はDeNAの倉本と同期で、総合力で上回っていた松本は遊撃、倉本は三塁だった。その松本を立大が「どうしても欲しい」と言う。推薦入試でも英語ができないとダメだというが、松崎ほどの学力はない。すると、大学側が英語教師をつけて臨時レッスンをしてくれた。おかげで松本は試験をパスすることができた。
六大学でも明大、法大は野球の実績が優先される。スポーツ科学部がある早大は立大ほど学力は求められないものの、声がかかるのは、プロ野球のドラフトにかかるような選手に限る。プロを蹴るレベルの選手しかスポーツ推薦では入学できないということだ。
たいていの選手は「六大学でやりたい」と言うのだが、最近は勉強しないと入学はできても卒業ができない。私は試合に出られる大学を勧める。野球の実力と学力を総合的に判断して「行っていい」「やめておけ」「こっちの大学の方が合っている」などとアドバイスしてきた。
野球だけで高校も大学もスポーツ推薦で入るのは至難の業。野球がうまくて、さらに学力があれば、大学の選択肢は広がる。今、野球をやっている生徒には「勉強をおろそかにしてはいけない」と言いたい。立大の優勝で、そう思った。
上の記事は「松坂大輔の育ての親」として有名な小倉清一郎氏が書いたものです。下は同氏が横浜高の野球部部長に就任した1994年から退任するまで、同校からドラフト指名された選手。(大学・社会人経由も含む)
神奈川県の高校からドラフト指名された選手一覧はこちら
東京六大学野球で立大が35季ぶりに優勝し、教え子を思い出した。横浜高時代に進路を指導した松崎健造(立大3年)が外野手として試合に出場している。野球の技量より中学の成績が「オール5」に近い秀才で、高浜祐仁(現日本ハム)と一緒に横浜高に入学した変わり種。
高2の夏に桐光学園3年だった松井裕樹(現楽天)から3安打して勝利に貢献し、3年時は主将を務めた。最初の進路相談で、青山学院大が希望と言った。私は反対した。当時の青学大は東都リーグ1部所属。野球のレベルが高く、選手は精鋭揃い。試合に出られない可能性が高いとみた。
「おまえは立教か筑波(首都リーグ)が向いている」と勧めると、「立教にします」と言う。推薦入試でも学力が求められるが、松崎は問題なかった。
大手マスコミのカメラマンをやりながら、立大野球部のスカウトを兼ねている人物がいる。立大が目をつけた選手がいると、その人を通じて打診がある。ただ、成績が悪い場合、「その学力では無理ですね」とはっきり言われることもある。
現在は社会人野球の東芝で活躍する松本幸一郎は、立大で主将を務めた。横浜高時代はDeNAの倉本と同期で、総合力で上回っていた松本は遊撃、倉本は三塁だった。その松本を立大が「どうしても欲しい」と言う。推薦入試でも英語ができないとダメだというが、松崎ほどの学力はない。すると、大学側が英語教師をつけて臨時レッスンをしてくれた。おかげで松本は試験をパスすることができた。
六大学でも明大、法大は野球の実績が優先される。スポーツ科学部がある早大は立大ほど学力は求められないものの、声がかかるのは、プロ野球のドラフトにかかるような選手に限る。プロを蹴るレベルの選手しかスポーツ推薦では入学できないということだ。
たいていの選手は「六大学でやりたい」と言うのだが、最近は勉強しないと入学はできても卒業ができない。私は試合に出られる大学を勧める。野球の実力と学力を総合的に判断して「行っていい」「やめておけ」「こっちの大学の方が合っている」などとアドバイスしてきた。
野球だけで高校も大学もスポーツ推薦で入るのは至難の業。野球がうまくて、さらに学力があれば、大学の選択肢は広がる。今、野球をやっている生徒には「勉強をおろそかにしてはいけない」と言いたい。立大の優勝で、そう思った。
上の記事は「松坂大輔の育ての親」として有名な小倉清一郎氏が書いたものです。下は同氏が横浜高の野球部部長に就任した1994年から退任するまで、同校からドラフト指名された選手。(大学・社会人経由も含む)
選手名 | 指名年度とプロ入り後の成績 |
紀田 彰一 | 1994横浜1位 |
斉藤 宜之 | 1994巨人4位 |
多村 仁 | 1994横浜4位 |
横山 道哉 | 1995横浜3位 |
幕田 賢治 | 1996中日3位 |
中野 栄一 | 1996中日4位 |
高橋 光信 | 1997中日6位 |
白坂 勝史 | 1997中日7位 |
松坂 大輔 | 1998西武1位 |
矢野 英司 | 1998横浜2位 |
部坂 俊之 | 1998阪神4位 |
小池 正晃 | 1998横浜6位 |
丹波 幹雄 | 1998ヤクルト8位 |
阿部 真宏 | 2000近鉄4位 |
後藤 武敏 | 2002西武自由枠 |
成瀬 善久 | 2003ロッテ6巡目 |
小山 良男 | 2004中日8巡目 |
涌井 秀章 | 2004西武1巡目 |
石川 雄洋 | 2004横浜6巡目 |
松井 光介 | 2005(大・社)ヤクルト3巡目 |
佐藤 賢治 | 2006(高校)ロッテ2巡目 |
福田 永将 | 2006(高校)中日3巡目 |
円谷 英俊 | 2006(大・社)巨人4巡目 |
高浜 卓也 | 2007(高校)阪神1巡目 |
土屋 健二 | 2008日本ハム4位 |
筒香 嘉智 | 2009横浜1位 |
荒波 翔 | 2010横浜3位 |
近藤 健介 | 2011日本ハム4位 |
乙坂 智 | 2011横浜5位 |
下水流 昂 | 2012広島4位 |
田原 啓吾 | 2012(育成)巨人1位 |
倉本 寿彦 | 2014DeNA3位 |
浅間 大基 | 2014日本ハム3位 |
高浜 祐仁 | 2014日本ハム7位 |
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│大学 | 大学野球スポーツ推薦合格者&入部予定者