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日ハムスカウトが明かす広島スカウトの執念

2017年08月17日

8/17、夕刊フジ25面より

1989広島ドラフト4位 前田智徳
熊本工高・外野手・18歳

日本ハムの山田正雄スカウト顧問は少しの後悔と、懐かしさとともに28年前の甲子園を思い出すことがある。

「3年生の気になる打者がいたんだけど、『打つ方はいいが、性格面に問題がある』という感じで周りの評判があまりよくなくてね。ウチもあまり評価してなかった。でも、俺にはそうは見えない。まじめさを判断するには、守備の様子を見るのが一番いい。その選手はセンターだったからバックスクリーンの横まで行って、じっくり見てやったんだ」

現役引退後サラリーマン生活を経て球界に復帰した山田氏は、当時スカウト3年目。

「外野席に着いたら、広島の九州担当の宮川スカウトにいきなり声を掛けられた。『こんなところで何やってんだ?』って。ギョッとしたよ。まさか選手を見てるとはいえない。『気分転換ですよ』ってごまかしたんだけど、宮川さんも横に座って動いてくれない」

2016年に亡くなった宮川孝雄氏(享年79)は北別府学氏や緒方孝市現監督らを発掘した名スカウトだ。

「そのうち『出前で鰻を取ったから一緒に食おう』なんて言い出した。当時はおおらかだったから、外野まで出前が来てくれたんだよ。確かに腹も減ってたから、そのまま食べながら見ればいいかと思ったんだけど、『うまいか?』なんて話しかけられて全然プレーが見られなかった」

甲子園に集まるスカウトは通常、全チームの初戦を視察するとそれぞれの担当地区に戻る。判断を下す唯一のチャンスを逃してしまったのだ。山田氏が見逃した選手は1989年のドラフトで広島に4位指名された熊本工の前田智徳外野手だった。多くのケガに悩まされながら通算2119安打を積み上げることになる。

「プロに入ってから様子を聞いてみたら、『すごく真面目でよく練習する』と。2年目にはレギュラーに定着した。悔しかったね。もっと強く推薦できなかったかと。でも判断の材料が足りなかった。多分あのよくない話も、宮川さんが他球団を寄せ付けないために流していたんだろう。それくらい前田に懸けていた。あの時も外野で他球団のヤツが来ないか見張っていたんだろう」

ほれ込んだ選手に懸けるスカウトの執念。「あの鰻はめちゃくちゃうまかったなあ」。そう笑った山田氏。夏が終わればすぐにドラフトの時期がやってくる。 



下は1989ドラフト会議で広島が指名した選手です。前田智徳は4位指名入団。プロでの成績はこちら

広島の1989ドラフト指名選手
1位佐々岡 真司NTT中国投手
2位仁平 馨宇都宮工高外野手
3位前間 卓鳥栖高投手
4位前田 智徳熊本工高外野手
5位山口 晋島田商高投手
6位浅井 樹富山商高外野手
プロ入り後の成績


draftkaigi at 08:23│ │日本ハム | 広島
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