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吉本祥二(ソフトB)、第二の人生はソフトB本社勤務

2017年12月13日

12/13、スポーツニッポン4面「ユニホームを脱いだ男たち」より

2011ソフトBドラフト2位 吉本祥二
足立学園高・投手・スカウト評

今春の宮崎キャンプは主力中心のA組に呼ばれ、ブレークの期待も高まっていた。だが、応えられないまま時は過ぎていった。オフに待っていたのは戦力外通告。まだ24歳だが、吉本(2011ソフトバンク2位)にトライアウトの選択肢はなかった。最速154キロを誇る右腕だが、いつの間にか、投げる喜びの感情は恐怖へと変わった。

「マウンドに上がることさえつらかった。ブルペンでは大丈夫だけど、あそこに上がると制球できず、四球を連発してしまった」。

心理的要因で起こる投球イップス。「ストレートの力は1軍で通用する」と今春、佐藤投手コーチから太鼓判をもらったように潜在能力はピカイチだった。ただ、制球難と故障がちだったこともあり、3年目から育成選手で主戦場は3軍だった。プレートからホームベースまでの18.44メートルはブルペンもマウンドも変わりはない。だが、越えられない高い壁だった。

同期の影を追いかけたが、踏むことさえかなわなかった。東京・足立学園では「下町のダルビッシュ」と騒がれ、11年ドラフトで2位指名された。1位は同学年の武田だった。1年目に8勝を挙げた同期はまばゆかった。「悔しかった半面、自分の実力に気づかせてくれた」。一番近くで見てきた仲間だから、自分との違いが分かり、決断を後押しした。

「スターになれ」。秋季キャンプへあいさつに行った際、達川ヘッドコーチから助言された。それほど188センチの長身と、ルックスはモデルと見間違うほどだ。ただ「人前に立つのはやっぱり苦手です」と苦笑い。地道に生きると決めていた。

そんな男に思わぬオファーが来た。11月下旬、東京・汐留にあるソフトバンク本社に出向いた。球団のセカンドキャリアで勧められたのは本社採用だ。世界が相手の一流企業の仕事に「高卒でこんな仕事を紹介してもらえる。なかなかある話ではないと思います」と心は前を向いている。

研修段階で、進む道が正式に決まったわけではない。ただ、新たな戦場へ向かう24歳の心にはユニホームを着ていた頃の恐れの感情は消え、ただ、希望があふれている。



下は2011ドラフトでソフトバンクが指名した選手です。2位指名・吉本祥二のスカウト評はこちら

ソフトバンクの2011ドラフト指名選手
1位武田 翔太宮崎日大高投手
2位吉本 祥二足立学園高投手
3位塚田 正義白鴎大内野手
4位白根 尚貴開星高投手
5位嘉弥真 新也JX-ENEOS投手
プロ入り後の成績


draftkaigi at 07:06│ │戦力外通告 
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