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ドラフト選手の家庭の事情、吉田輝星(日ハム1位)

2018年11月13日

11/13、日刊ゲンダイ終面「ドラフト選手の家庭の事情」より

2018日本ハムドラフト1位 吉田輝星
金足農高・投手・動画

2001年1月12日、吉田家の長男として、3485グラムの大きな男の子が生まれた。父の正樹さんはまるで猿のようだと思った。母のまゆみさんと話し合って、名前は「こうせい」に決めた。

きっかけは、その半年前にあった。00年夏、シドニー五輪で柔道男子100キロ級の井上康生(現・柔道男子日本代表監督)が金メダルを獲得し、母の遺影を手に表彰台に上がった。正樹さんは、井上のひたむきな柔道と人柄にひかれた。星のように輝いてほしいとの願いを込め、漢字は「輝星」とした。

正樹さんは金足農で投手だった。輝星にも野球をやってほしいと思った。生後まもなく、遊び道具として軟らかいゴムボールを与えた。正樹さんが所属する草野球チームの試合にも連れていった。輝星は幼い頃から、野球が身近にあった。

輝星が小学校へ入学してすぐに、正樹さんは輝星を連れて、スポーツ用具店へ出かけた。「入学祝いだ。どれがいい?」。輝星は茶系のナチュラルな色の軟式グラブを選んだ。8000円ほどだった。

小学1年のある日、庭でキャッチボールをしていると、輝星は下手投げでボールを投げ返してきた。正樹さんはそのときから、キャッチボールをただの遊びとしては見ていなかった。「そういう投げ方をするなら、二度とキャッチボールしないぞ!」。こう言って叱り飛ばすと、輝星はびっくりしたように、泣きじゃくった。

「叱るのもどうかと思ったんですがね」。正樹さんは苦笑いを浮かべながら、当時をこう振り返る。「この先、野球をやるならしっかりと投げ方を教えておきたかった。最初が肝心だと思っていました。泣きながらも、キャッチボールがやりたい!と言ったとき、この子は何があっても野球をやり続けるんじゃないかと思いました」

輝星には、きれいなバックスピンがかかった球を投げられる投手になってほしかった。ボールの握り方から手取り足取りで教えた。上から真っすぐ腕を振り下ろす・・・。浮き上がるようにホップするストレートの原点といっていい。正樹さんが投げ方にこだわったのは、肩の故障に苦しんだ高校時代の経験からだ。

1984年、金足農は夏の甲子園で初出場ながらベスト4に進出。準決勝でPL学園(大阪)との激闘の末に敗れたものの、当時、小学生だった正樹さんの脳裏に「金農フィーバー」は強烈な印象として焼き付いた。中学時代は軟式野球部で投手を務め、憧れの金足農に進学した。

エースを目指していた正樹さんは2年生になる直前の春、試合中に肩に痛みを感じた。その後も試合で投げるたびに痛みが襲った。中学2年のときに一度、肩を痛めたことが影響したようだ。正樹さんはしかし、当時の嶋崎久美監督には一度も「肩が痛い」とは言わなかった。というより、言えなかった。

何より試合に出たかった。内緒で週に一度、病院に通って電気治療を施し、湿布薬を貼りながら投手を続けた。夏の県大会では背番号10をつけたが、2年時はベンチ入りできず、3年時は1イニングを投げただけだった。2年連続で決勝で敗れ、甲子園出場の夢はかなわなかった。

「きちんとした体の使い方ができず、筋力も足りなかった。それが肩の痛みにつながったと思います。輝星の投げ方にこだわったのは、自分のようにケガで苦しんでほしくない、という思いもありました」。

当時をこう振り返る正樹さんは高校卒業後、地元の流通関係の会社に就職し、今年で25年目になる。野球部があったことが入社の決め手になった。数年後に同僚だったまゆみさんと結婚。倉庫の商品管理の仕事に従事する。野球部は入社後まもなく廃部になったが、現在も草野球チームに所属している。

まゆみさんはいま、社員として働きながら、子どもたちを支える。輝星が朝6時すぎに登校するため、5時ごろには起床して食事を用意する。以前は実家の離れのような場所で、家族4人が川の字になって寝ていた。輝星と次男の大輝くん(11)が大きくなり、5年ほど前に新しい家を構えた。

輝星は父の背中を追いかけ、同じ金足農に進学。今夏、父の果たせなかった夢をかなえた。甲子園で881球を投じて「金足農旋風」の立役者となり、日本ハムに1位指名された。正樹さんは言う。

「指名されたときはホッとしました。プロ表明をするまでの間、プロ入りへの思いを何となく感じていましたが、私のような一般人からすれば、プロはごく一部の限られた人だけの世界。進学して、就職するのが普通の流れだと思っていました。プロへ行くと決めたからには、周りの仲間や指導者の方々への感謝の気持ちを忘れず、頑張ってほしいですね」



下は2018ドラフトで日本ハムが指名した選手です。1位指名・吉田君のスカウト評はこちら

日本ハムの2018ドラフト指名選手
× 根尾 昂    
1位 吉田 輝星 金足農高 投手
2位 野村 佑希 花咲徳栄高 内野手
3位 生田目 翼 日本通運 投手
4位 万波 中正 横浜高 外野手
5位 柿木 蓮 大阪桐蔭高 投手
6位 田宮 裕涼 成田高 捕手
7位 福田 俊 星槎道都大 投手
育1 海老原 一佳 BC富山 外野手


draftkaigi at 07:00│ │日本ハム 
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