ドラフト選手の家庭の事情、上茶谷大河(DeNA1位)
2018年11月20日
11/20、日刊ゲンダイ27面「ドラフト選手の家庭の事情」より
京都の名勝、金閣寺にほど近い住宅地に立つ東洋大・上茶谷大河(動画)の実家には、幅6メートル×奥行き13メートルのガレージがある。車4台を収められるそのスペースが父子の特訓の場だった。父の篤史さんが振り返る。
「ガレージというほど立派なものではありませんが、雨風はしのげる。そこにカーテンレールを取り付け、ネットを吊るしたのが、大河が小学校1年生で野球を始めてすぐのことでした。それから中学卒業までの8年間、毎日毎日、ネットスローと素振り、ティー打撃をやりました。夕食後の20時から、ランニングも含めれば2時間半くらいですかね。休んだ記憶はないくらいです」
といっても、篤史さんに野球経験はない。息子と同じ京都学園高(当時は京都商業)から学校法人大和学園が運営する京都調理師専門学校に進んで料理の道へ。卒業後に京都市内の総合病院の調理師となった。入院患者の食事を担当し、今でも1日400食から500食の調理を行っている。
「野球は好きでしたが、学生の頃からこれといったスポーツの経験はありません。大河がいとこの影響で野球を始めてからは、自分なりにいろいろと勉強はしました。プロ野球選手の投球フォームの連続写真や映像を集めて、ビデオに撮った大河の投球フォームと見比べたり。素人ではありますが、故障のしないスムーズなフォーム、コントロールを大事にしました」
専業主婦の母・めぐみさんにも本格的なスポーツ経験はないという。それでも、息子はドラフト1位でプロ入りの夢をかなえた。篤史さんが感慨深げに言う。
「特別なDNAがあったとすれば81歳になる家内の父・大前正治かもしれません。義父は投手で京都の鴨沂高から立命大を経て帝産で社会人野球をやっていた。そんな義父の血と、なにより大河に関わっていただいた指導者の方々のおかげです」
その指導者に話を聞くと、「上茶谷はとにかく真面目で努力家」と異口同音に証言する。まずは東洋大の高橋昭雄前監督。
「東洋大OBの京都学園の堂監督から面白い投手がいると聞き、最初はスポーツ推薦枠で取ろうとした。でも、上茶谷は勉強もできた。自力で合格しますと指定校推薦で入学。推薦枠を1つ使わずに済んだので、助かりました(笑い)。性格はしっかり者。自分自身を客観的に見つめることができた。右手中指の血行障害で手術もしたが、それでも諦めず、自分の力を信じて黙々と練習に励んだ。まさに学生野球の申し子です」
京都学園高の堂弘監督が話を引き取る。
「こと野球に関してはストイック。与えられた練習だけではなく、必ずそれに自分自身でプラスアルファを考えて取り組む選手でした。2年生の冬に右ヒジを痛めて手術もしましたが、その時も前向きにリハビリをして乗り越えました。学校生活も真面目で他の先生方から、上茶谷くんは本当にしっかりしてますねと言われるたび、私もうれしくなったものです」
中学時代に所属した京都レッドベアーボーイズの甲斐省三監督がこう言う。
「うちでは4番手投手でしたが、彼ほど努力した子はいません。週末の7時間練習のうち、5時間は走っていました。常に車のタイヤをつけたロープを腰に巻いてね。トイレに行くときはどうすればいいんですか? と聞くので、タイヤを縦に立てれば入れるやろ! なんて言ったりして。そういう練習にもカミチャは一切、音をあげなかった。
性格はおちゃめで物おじしないタイプ。人前でモノマネを披露したり、漫才をやったり。器用で観察眼に優れているからモノマネは絶品ですよ。DeNAラミレス監督の現役時代の真似が得意で、それも打撃フォームだけでなく表情まで再現するなど芸が細かい。毎年1月3日に赤熊祭というチームのイベントがあるのですが、カミチャは卒団してからも欠かさず参加してくれる。律義な子で自慢の教え子です」
今年の赤熊祭では、「ソフトバンクの内川選手が一塁側にファウルを打ったときの顔」のモノマネを披露した上茶谷。期待の即戦力右腕として、今度は野球少年から真似される番である。
下は2018ドラフトでDeNAが指名した選手です。1位・上茶谷君のスカウト評はこちら
2018DeNAドラフト1位 上茶谷大河 東洋大・投手・動画 |
京都の名勝、金閣寺にほど近い住宅地に立つ東洋大・上茶谷大河(動画)の実家には、幅6メートル×奥行き13メートルのガレージがある。車4台を収められるそのスペースが父子の特訓の場だった。父の篤史さんが振り返る。
「ガレージというほど立派なものではありませんが、雨風はしのげる。そこにカーテンレールを取り付け、ネットを吊るしたのが、大河が小学校1年生で野球を始めてすぐのことでした。それから中学卒業までの8年間、毎日毎日、ネットスローと素振り、ティー打撃をやりました。夕食後の20時から、ランニングも含めれば2時間半くらいですかね。休んだ記憶はないくらいです」
といっても、篤史さんに野球経験はない。息子と同じ京都学園高(当時は京都商業)から学校法人大和学園が運営する京都調理師専門学校に進んで料理の道へ。卒業後に京都市内の総合病院の調理師となった。入院患者の食事を担当し、今でも1日400食から500食の調理を行っている。
「野球は好きでしたが、学生の頃からこれといったスポーツの経験はありません。大河がいとこの影響で野球を始めてからは、自分なりにいろいろと勉強はしました。プロ野球選手の投球フォームの連続写真や映像を集めて、ビデオに撮った大河の投球フォームと見比べたり。素人ではありますが、故障のしないスムーズなフォーム、コントロールを大事にしました」
専業主婦の母・めぐみさんにも本格的なスポーツ経験はないという。それでも、息子はドラフト1位でプロ入りの夢をかなえた。篤史さんが感慨深げに言う。
「特別なDNAがあったとすれば81歳になる家内の父・大前正治かもしれません。義父は投手で京都の鴨沂高から立命大を経て帝産で社会人野球をやっていた。そんな義父の血と、なにより大河に関わっていただいた指導者の方々のおかげです」
その指導者に話を聞くと、「上茶谷はとにかく真面目で努力家」と異口同音に証言する。まずは東洋大の高橋昭雄前監督。
「東洋大OBの京都学園の堂監督から面白い投手がいると聞き、最初はスポーツ推薦枠で取ろうとした。でも、上茶谷は勉強もできた。自力で合格しますと指定校推薦で入学。推薦枠を1つ使わずに済んだので、助かりました(笑い)。性格はしっかり者。自分自身を客観的に見つめることができた。右手中指の血行障害で手術もしたが、それでも諦めず、自分の力を信じて黙々と練習に励んだ。まさに学生野球の申し子です」
京都学園高の堂弘監督が話を引き取る。
「こと野球に関してはストイック。与えられた練習だけではなく、必ずそれに自分自身でプラスアルファを考えて取り組む選手でした。2年生の冬に右ヒジを痛めて手術もしましたが、その時も前向きにリハビリをして乗り越えました。学校生活も真面目で他の先生方から、上茶谷くんは本当にしっかりしてますねと言われるたび、私もうれしくなったものです」
中学時代に所属した京都レッドベアーボーイズの甲斐省三監督がこう言う。
「うちでは4番手投手でしたが、彼ほど努力した子はいません。週末の7時間練習のうち、5時間は走っていました。常に車のタイヤをつけたロープを腰に巻いてね。トイレに行くときはどうすればいいんですか? と聞くので、タイヤを縦に立てれば入れるやろ! なんて言ったりして。そういう練習にもカミチャは一切、音をあげなかった。
性格はおちゃめで物おじしないタイプ。人前でモノマネを披露したり、漫才をやったり。器用で観察眼に優れているからモノマネは絶品ですよ。DeNAラミレス監督の現役時代の真似が得意で、それも打撃フォームだけでなく表情まで再現するなど芸が細かい。毎年1月3日に赤熊祭というチームのイベントがあるのですが、カミチャは卒団してからも欠かさず参加してくれる。律義な子で自慢の教え子です」
今年の赤熊祭では、「ソフトバンクの内川選手が一塁側にファウルを打ったときの顔」のモノマネを披露した上茶谷。期待の即戦力右腕として、今度は野球少年から真似される番である。
下は2018ドラフトでDeNAが指名した選手です。1位・上茶谷君のスカウト評はこちら
DeNAの2018ドラフト指名選手 | |||
× | 小園 海斗 | ||
1位 | 上茶谷 大河 | 東洋大 | 投手 |
2位 | 伊藤 裕季也 | 立正大 | 内野手 |
3位 | 大貫 晋一 | 新日鉄住金鹿島 | 投手 |
4位 | 勝又 温史 | 日大鶴ヶ丘高 | 投手 |
5位 | 益子 京右 | 青藍泰斗高 | 捕手 |
6位 | 知野 直人 | BC新潟 | 内野手 |
育1 | 宮城 滝太 | 滋賀学園高 | 投手 |
draftkaigi at 07:07│
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