名スカウトが明かすダルビッシュ一本釣りの真相1
2019年11月28日

2004日本ハムドラフト1巡目 ダルビッシュ有 東北高・投手・18歳 |
山田とダルビッシュ有(2004日ハム1巡目)。まるで運命の糸に導かれたかのようだった。現在米大リーグ、カブスで活躍する右腕を日本ハムが獲得するのは必然だった。山田が初めてダルビッシュを見たのは、東北高1年時、2002年の春。同校グランドで、その年のドラフト候補の超有望株・高井雄平を視察するのが、目的だった。
ひょろっと背の高いダルビッシュがキャッチボールをしていた。その当時は「でかいなあと。その程度でした」と語る、後に右腕はドラフトの超目玉候補となり、山田が熱視線を送るターゲットになった。甲子園での投球を視察した印象は「いいボールを放っている」だった。だが大きなネックがあった。
性格面だった。気持ちにむらがあり、練習が好きじゃない・・・。球界でまことしやかに、ささやかれていたウワサだ。人間性を探るために山田は、東北地方の他校視察の際は東北高に足を運んだ。だがいつも、ダルビッシュはグラウンドにいない。たいてい合宿所の玄関先で腹筋をしていた。
「成長痛ということでした。僕が行った時期は、ほとんど練習していない」。チームの練習に参加している姿を見れば、性格も把握できた。素材は間違いない。だが3年生になっても中身をつかみきれずに困っていた。
3年春の時点で、編成部ディレクター・山田の腹の中では、ダルビッシュ1位指名を固めていたが、どうしても04年のドラフト前に最終確認をしたかった。ダルビッシュが高校ジャパンのメンバーとして出場した9月開催のAAA世界選手権を視察した。
「最後のチャンス。全日本クラスの選手が集まったところでのしぐさや態度。いろんなものが見られる」。球場のバックネット裏最前列の席に陣取り、グラウンドだけではなくベンチにも目を凝らした。
4日の台湾戦で先発したダルビッシュは五回途中3失点で降板。その後の態度に注目した。するといったんは裏に下がったが、アンダーシャツを着替えた大柄な若者が出てきた。ベンチの最前列で一生懸命、同僚を応援する姿は、今でも目に焼き付いている。ひたむきな姿勢を見て感心した。「捨てたもんじゃない」と人間性の不安を解消し、最終的な評価は確定した。
球団内の評価もドラフト指名候補の中ではナンバーワン。後述するが、この方針こそ、後の日本ハムの礎を築くことになる。それはさておき、04年のドラフト1位でダルビッシュを入札し、一本釣りに成功した、これだけの逸材がなぜ、競合しなかったのか・・・、
「もしかしたら0か10か。ダメだったら0になる。そういうのが他球団はあったかもしれない」。好不調の波が激しいのは、性格面のむらが影響しているのかもしれない。人間性を把握しきれてなかった他球団は0の可能性を恐れ、外れ1位か2位での指名を考えていたのではないか。
実は山田もダルビッシュ獲得後、「0か10」と覚悟を決めていた。それはもう一つの不安材料があったからだ。

日本ハムの2004ドラフト指名選手 | |||
自由枠 | (行使せず) | ||
自由枠 | (行使せず) | ||
1巡目 | ダルビッシュ有 | 東北高 | 投手 |
2巡目 | (指名権なし) | ||
3巡目 | 橋本 義隆 | ホンダ | 投手 |
4巡目 | マイケル 中村 | 元ブルージェイズ | 投手 |
5巡目 | 市川 卓 | 菰野高 | 内野手 |
6巡目 | 菊地 和正 | 上武大 | 投手 |
7巡目 | 中村 渉 | 三菱製紙八戸 | 投手 |
8巡目 | 鵜久森 淳志 | 済美高 | 外野手 |
9巡目 | 工藤 隆人 | JR東日本 | 外野手 |
★プロ入り後の成績★ |
draftkaigi at 07:03│
│日本ハム