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幻に終わった井川慶ドラフト1位指名

2019年12月03日

12/3、デイリースポーツ21面「一匹狼と呼ばれたスカウト山田正雄」より

1997阪神ドラフト2位 井川慶
水戸商高・投手

山田の長いスカウト人生の中で、今でも脳裏に刻まれている逸材がいる。井川慶(1997阪神2位)。1997年度ドラフト2位で阪神に入団。当時、茨城県が担当地区だった山田が、水戸商・井川を初めて見たのは高校2年時の96年だった。

「粗削りだけど、いいピッチャーだなと。来年まで見ていくピッチャーだなと思っていた」。徹底マークをし、評価は急激に上がっていった。「球は速い。ぼてーっとした体の割に(笑)、コントロールとカーブが良かった。順調に育っていけば、絶対に1軍で活躍できると思った。確信はあった」。

ヤクルトで剛腕として活躍していた石井一久級だと高評価。フォームや球筋、風貌やキャラクターも似ていた左腕2人を重ね合わせた。将来、エースを担えるほどの超有望株。どうしても欲しい。他球団に渡すわけには絶対にいかない。極秘ミッションを敢行した。

97年の春のことだった。井川は、がっしりとした太もも、太い腰回りの持ち主で、風貌も愛くるしく、ユニークだった。水戸市民球場で井川の顔、体を間近で見て、ふと思いついた。「失礼だけど、絶対に利用すべきだと」。普段は他球団のスカウトと絶対につるまない山田が雑談をした際、さりげない口調で独り言のようにつぶやいた。

「ちょっとあれは顔がなぁ。頭の良さはどうかな。ぼんやりしている感じがするぞ」。見た目や内面が、投手としての繊細さに欠けると、あえて吹聴した。ベテラン・山田の低評価に他球団のスカウトはざわついた。

その一方では、井川の頭の良さを関係者から調査していた。「数字に強くて非常に頭がいい。学力もあると伝わってきた」。頭脳明晰な逸材。97年夏の時点で、早々と水戸商側に獲得したい熱意を伝えたほど、ほれ込んだ。

井川の腰痛が発覚しても、日本ハムの評価は不変だった。97年のドラフト前には、1位か2位の上位候補としてリストアップ。当時の監督、上田利治に「山田君、井川っていうのはそんなにいいのか?」と聞かれ、「絶対に面白いと思います。絶対に勝負してください」と答えた。

上田から「よし勝負してくれよ!」とお墨付きも、もらっていた。だがドラフト前に井川には意中の球団があり、それが阪神だと判明。井川から断られた経緯もあって、断腸の思いで指名を諦めた。

井川は、03年に20勝(5敗)をマークして、リーグ制覇に貢献するなど虎のエースとして君臨した。阪神入団後も、井川の活躍を見守ってきた山田は言う。

「相手のあることだし、獲りたくても獲れない選手はたくさんいる。問題は、阪神に入った後どうなったか。自分だけの評価は、何年後かに出てくると思っていた。なおさら、すごくうれしかった。他のチームに入っても、自分がほれた選手が活躍したってことはね。自分のスカウトとしての自信というか、間違ってなかったなと」

確固たる自信を胸に、スカウト活動にまい進した。



下は1997ドラフトで阪神が指名した選手です。井川慶は2位指名され入団。プロでの成績はこちら

阪神の1997ドラフト指名選手
1位 中谷 仁 智弁和歌山高 捕手
2位 井川 慶 水戸商高 投手
3位 橋本 大祐 富士大 投手
4位 坪井 智哉 東芝 外野手
5位 山岡 洋之 東北福祉大 投手
6位 奥村 武博 土岐商高 投手
プロ入り後の成績


draftkaigi at 09:56│ │日本ハム | 阪神
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