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あっと驚く斎藤佑樹ドラフト1位指名の真相

2019年12月05日

デイリースポーツ19面「一匹狼と呼ばれたスカウト山田正雄」より

2010日本ハムドラフト1位 斎藤佑樹
早稲田大・投手・22歳

不思議な巡り合わせがあった。2010年度ドラフト1位で獲得した早大・斎藤佑樹(2010日ハム1位)。GMの山田は当時、ドラ1を誰にするか心底、悩んでいた。

ターゲットは大学生の投手。候補だった佛教大・大野(2010中日1位)は左肩を故障し、中大・沢村(2010巨人1位)は、巨人と相思相愛。超目玉の早大・大石(2010西武1位)が、ドラフト直前まで1位の最有力候補。大石の剛速球と制球力を評価し、投手で大成しなかった場合は「打撃もいいからショートもできる」とコンバートも視野に入れていた。

だが不安材料があった。大石の投球フォームだ。右腕の使い方が右肩に負担をかけるため将来、故障するリスクを想定した。「懸念というか、引っかかるものがあった」。そこで10年のドラフト会議の3日前、10月25日に大石の投球を見て最終確認するために、東京・東伏見の早大グラウンドを訪れた。

そこで運命の出会いがあった。山田が、大石の投球をチェックしようと球場の左翼奥に設置されたブルペンに向けて、敷地内の道路を歩いている時だった。「キャ~」。山田の背後から女性の黄色い声が飛んできた。「みんなが騒いでいるから何かな」と振り返った山田の目の前に、歩いている斎藤佑樹の姿があった。

神宮球場で斎藤を視察したことはあったが「間近で見たのは、初めてだった」。スターが発する独特の雰囲気に驚いた。山田は、自身を「ファンみたいなものでしたよ」と笑い、当時の印象を明かす。「おー、あれが人気のある斎藤佑樹かと。確かに、これは人気あるだろうなと思った。すてきな選手。オーラを感じた」。

山田の視線をクギ付けにしたその存在感。大石のブルペン投球を視察し「やっぱり心配。故障が怖いな」と不安はぬぐい切れなかった。帰りの西武線の車内で、山田はドラフト1位を斎藤にする意思を固めた。

早実時代から甲子園のスーパースターだった男。「プロなんだからファンの目をこっちに持ってくるのも、ドラフトなんじゃないかと思った。1人のスターがファンを呼ぶ。その選手が注目される、ということは、その球団が注目される。何かを持っていてオーラがある人。僕は、すごく大切なことだと思っている」。

周囲に与える絶大な影響力も考慮して決断した。ドラフト当日の10月28日。大石は6球団の競合の末、西武が交渉権を獲得。斎藤は4球団競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。超大物をクジ引きで当てたその瞬間、山田は「複雑だった」と心境を明かす。

「力の結果はすぐに出る。プロはそんなに甘い世界じゃないということも分かってましたから」。だが斎藤は1年目の11年に6勝、2年目の12年に5勝と徐々に力を発揮。それ以降は、今季まで2年連続0勝に終わり、不振などに苦しんでいる。

「彼は、ひたむきに頑張っている。最後まであきらめない姿を見せて、ファンに勇気を与えるような存在になってもらいたい」。山田は祐ちゃんの来季の奮闘を願っている。



下は2010年ドラフト当日、スポーツ紙に掲載された日本ハムの1位指名予想です。1紙しか的中してないことからもあっと驚く斎藤1位だったことが分かります。

スポーツニッポン 日本ハム1位=塩見(八戸大)
スポーツ報知 日本ハム1位=沢村(中央大)
日刊スポーツ 日本ハム1位=斎藤(早稲田大)
中日スポーツ 日本ハム1位=沢村(中央大)
デイリースポーツ 日本ハム1位=塩見(八戸大)




下は2010ドラフトで日本ハムが指名した選手です。1位指名・斎藤佑樹のスカウト評はこちら

日本ハムの2010ドラフト指名選手
1位斎藤 佑樹早稲田大投手
2位西川 遥輝智弁和歌山高外野手
3位乾 真大東洋大投手
4位榎下 陽大九州産業大投手
5位谷口 雄也愛工大名電高外野手
6位齊藤 勝セガサミー投手
プロ入り後の成績


draftkaigi at 11:09│ │日本ハム 
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