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ヤクルト、誤算だった高卒ドラフト1位四兄弟

2020年03月06日

夕刊フジ「元ヤクルトチーフスカウト鳥原公二のトリ物帖」より
2009年ドラフトでヤクルトは花巻東高・菊池雄星投手を1位指名。6球団競合で小川淳司監督がクジを外しましたが、外れ1位で同じく高校生左腕の宮崎商高・赤川克紀投手(2008ヤクルト1位)を獲得しました。

私のチーム編成の持論は、高校生を獲ってきてエースに育てること。打撃は水物だから、いい投手が出てきたら簡単には打てない。理想は右、左のダブルエース。これが順調にいけば、10年から15年は困りません。これができないから、どこのチームも困っています。

ドラフト候補の高校生の両親が進学と迷っていたら「おたくの子は200勝できる投手です。4年間、大学に行っていたら170勝で終わってしまいます。200勝できる可能性があるんだから、うちに来てください」と口説きます。打者なら2000安打です。

そのレベルまで達していない高校生には「プロに来るよりも、大学で勉強した方がもっと大きく育ちますよ。そのときにもう1回チャレンジしてください」と進学や社会人へ進むように勧めたこともあります。

左のエースと期待した赤川は、11年に同じく左腕の村中恭兵(2005ヤクルト1巡目)増渕竜義(2006ヤクルト1巡目)由規(2007ヤクルト1巡目)の両右腕とともに活躍。ドラ1四兄弟と売り出された時期もありました。当時は「格になる選手ができた。10年は安泰だ」と思ったものです。

私の頭の中にあったのは、高卒で長い間活躍した巨人の桑田真澄、斎藤雅樹、槙原寛己の三本柱。あれを夢見ました。4人いれば、先発ローテーションの残りは組み合わせていけば何とでもなるし、ドラフトでも思い切った指名ができます。

ところが四兄弟は長続きしなかった。赤川は3年目の11年に6勝、12年に8勝しましたが、以降は1つも勝てず、7年で戦力外になりました。

村中も10、12年に2ケタ勝利を挙げ、一時期はエース級の活躍をしたものの、伸び悩み昨季限りで戦力外になりました。通算46勝ですが、もっとすごい投手になってもいい素材でした。昨年オフはニュージーランドでプレー。今年は沖縄初のプロ球団、琉球ブルーオーシャンズで現役を続けることになりました。

私たちスカウトは、光るであろう原石を現場に預け、いいところをきれいに磨いてくださいという仕事。「こんないいところがあるから、そこを伸ばしてほしい」と考えます。だから、悪いところを直して試合で結果を出させようとするコーチとは、意見が食い違うこともあります。

そこで西武では、根本睦夫さん(元管理部長)の発案でコーチにはスカウトを経験させていたそうです。



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draftkaigi at 13:10│ │ヤクルト 
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