プロ志望高校生練習会、下位~育成指名レベル多い
2020年09月01日

29日から2日間にかけて甲子園で行われた高校野球の合同練習会。プロが最も注目したのは、今秋ドラフト1位候補の最速153キロ右腕、福岡大大濠の山下舜平大だ。持ち球はストレートとカーブのみだが、この日のシート打撃では打者5人に対し、1安打1四球3奪三振。最速150キロをマークするなど、潜在能力の高さを見せた。
「1位候補の中京大中京の高橋や明石商の中森が不参加だったため、素材としては山下がダントツ。中位から下位候補では、甲子園出場組の中京大中京の遊撃手・中山礼都、大分商の捕手・末田龍祐あたりをマークしている。甲子園未出場では近江の遊撃手・土田龍空や柳ケ浦の外野手・西川拓馬が木製バットへの対応力を見せていた」。とは、セ球団のスカウトだ。
練習会に参加した77人は下位~育成指名レベルが多い。各球団の地区担当スカウトは独自大会や練習試合を通じてほぼ全員を調査済み。選手が事前にプロ側に対し「育成契約でもいいのでプロ入りしたい」と伝えているケースも多い。
編成幹部らによるクロスチェックの場として、巨人やソフトバンクなど複数の育成選手を指名するであろう球団にとっては、うまみがあるといえる。
マスコミ関係者が言う。
「会を開催するにあたり、一部球団が『この投手と野手については、対戦機会を増やしてほしい』との要望を出した。しかし高野連は、あくまで参加者全員に平等の機会が与えられるべきと主張。結果的に却下された。ショーケースにしたかったプロ側と、進路に困る高校生を救済したい高野連との間に、温度差があったのも事実。そもそも練習会の目的は、コロナ禍によってアピールの機会が失われた高校生を救済すること。高野連は今回の練習会を単なるプロの草刈り場にはしたくないのですよ」
今回の合同練習会にはメジャースカウトも参加可能だったが、事前の登録者はゼロだった。そもそもコロナ禍によってメジャー球団のアマ選手に対する熱は例年ほどではなかったという。
米球界関係者の話。
「メジャースカウトは今年の春先から夏にかけて、日本でのスカウト活動を禁止された。違反すれば重大な罰則を科されることになります。アマチュア選手は基本的にカバーし切れないし、かつての大谷(現エンゼルス)や、去年の佐々木朗希(現ロッテ)クラスの大物もいないと聞いた。だったら、すでに実力を把握しているプロ野球選手の獲得を優先するという判断ですよ。今年に限っては高校生に対し、こちらから積極的に動くことはありません」



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│特命スカウトが行く