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スカウトの逆襲、頭の悪い選手の見極め

2020年10月18日

10/18、日刊ゲンダイ37面「スカウトの逆襲」より
ドラフト会議が10日後に迫って、オレもかなり忙しい。球団が作成したリストには膨大な量の選手が掲載されているから、それをふるいにかけなきゃならない。自分が推薦した選手の最終チェックをするためにある高校のグラウンドに向かう途中、スマホが震えた。部長からだ。

「おい、まだ、絞り込めないのか!」

「これから、ある高校のグラウンドで監督と話をしようかと思ってるんです。ほら、部長がよく言うじゃないですか、いくら素材がよくてもそれを開花させる最低限のアタマがないヤツはだめだって。なので、いまから監督に聞こうと思ってるんです」

「聞くって、何をどうやって聞くんだ?」

「いやね、今年の夏の代替大会をチェックしてたら、目当ての右腕が捕手のサインにほとんどクビを振らないんです。だから、あの子は自分で投球の組み立てを考えないんですか? って聞こうと思ってますけど」


ストレートは速いうえ、カーブのキレもいい。ただ、コントロールが多少アバウトだし、いつも捕手のリード通りに投げている。ここはどう考えてもカーブだろうという場面でも、捕手のサインにうなずいてストレートを力いっぱい、放っていた。それが気になって、疑問を監督にぶつけてみようと思ったんだ。

「おまえにしちゃ、上出来じゃねーか。ただ、それをストレートに聞いちまったら、監督は面白くねーだろうな。あのピッチャーは何も考えてないんですか? 教育してないんですか? って言ってるようなもんだろ。オレがそう聞かれたら、キャッチャーをたててるとか信頼しているとか、そんなふうにはぐらかすぞ」

それなら、どう聞けばいいのか。答えに窮していると、部長が自分の経験談だと例に出したのはこんな感じだった。

「どうも体の開きが早いように思うんです。その辺りが気になるんですけど、どうなんでしょう?」

部長に言わせると、あの選手はアタマが悪いんですかと聞かれてハイそうですと答える監督はまずいない。あえて遠回しに欠点を指摘したりすることが突破口になるケースが多いそうだ。

ちなみに、部長にこう聞かれた監督は、よくぞ聞いてくれたとばかりに、「そうなんですよ。自分は彼が1年生のときから口を酸っぱくして言っているんですけど、言ってもポカンとしてる。なぜ、体の開きが早いとダメなのか、それを考えようとすらしないんです」と答えたとか。

監督はしっかり指導しているのに、選手にそれを咀嚼する能力がないという図式にしてやると、堰を切ったように選手のアタマに関して話し始めたそうだ。



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