覆面スカウト甲子園日記、前川右京(智弁学園)
2021年03月25日

前川右京(智弁学園高・外野手) 177cm・左投左打・動画 |
春のセンバツで厚手のコートやカイロが欠かせないのは、吹きっさらしの席に座ったままじっと選手の動きを追っているからだが、必ずしも全試合、ネット裏で目を皿のようにしているわけではない。
こう言っては身も蓋もないが、明らかにチェックする必要のない試合も中にはある。そんなときは中抜けして大阪や兵庫の有力選手を見に行ったりもする。
この時期、高校は練習試合、大学や社会人はオープン戦をやっているから、リストに載った選手が近くに居れば、スケジュールをチェックしたうえでグラウンドに足を運ぶ。
今回のセンバツでスカウトに用意された席は1球団5人以内。その日のカードにもよるが、必ずしも5人全員で試合を見る必要はないし、他球団の連中に内緒で、こっそり高校の練習試合に行ったつもりでも、現地でライバル球団のスカウトと鉢合わせなんてことも珍しくない。
球団のリストに載った兵庫のある工業高校の投手が大会期間中、練習試合を組んでいたのでチェックしに行くつもりだったけど、担当から「去年の秋からほとんど伸びていないし、そこまでの投手じゃない」と報告があったので視察は見送った。
それにしても大会4日目の23日は注目選手が目白押しで大忙しだった。高校ナンバーワン投手の市和歌山・小園健太に始まり、続く2試合目は智弁学園対大阪桐蔭戦。3戦目の広島新庄にしても投手2人がリストに載っていた。
中でも智弁学園の前川右京外野手(動画)は高校通算30本塁打、1年時から4番打者として夏の甲子園に出場しているスラッガーだ。この日は5打席あって四球、二ゴロ、四球、四球、右飛。安打はなかったものの、5打席目の右飛は見応えがあった。風で押し戻されなければ、あるいはスタンドに放り込んでいたかもしれない。
3四球は選球眼が良いというより、大阪桐蔭のバッテリーが警戒したがゆえだろう。勝負を避けているように見えた。足と肩はともかく、打撃は一級品だ。


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