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覆面スカウト奮闘記

覆面スカウト奮闘記、ダイヤの原石を探せ(19)

2014年12月21日

12/22、日刊ゲンダイ25面「覆面スカウト奮闘記19」より
グラウンドではクソ生意気な学生やタカリ専門みたいな監督にペコペコして、球団に戻ればエラいさんや部長にどやされる。毎晩、飲まなきゃやってられないような生活をしてるオレの年収は700万円さ。スカウトの平均的な給料だって聞いてる。

それでも毎年、11月の終わりに契約を更新してもらえるだけでもありがたいのかもしれない。スカウトにはオレみたいな1年契約の契約社員と、球団の正社員がいる。正社員は契約社員と比べて若干給料が安いみたいだけど、よっぽどのヘマをしない限り、クビになることはないからね。スカウト失格でも、他の部署に回されるだけだ。

そこへいくとオレたちみたいな契約社員はそうはいかない。結果が出なければクビさ。毎年、ドラフトが終わると、スカウトは本拠地や地方の事務所に顔を出す。そこで今年はアイツが危ないなんてウワサが広まるから、心当たりのあるヤツはもう、ビクビクさ。

中には球団のエラいさんに「子供が来年就職するんです。あと1年だけ面倒をみてください」なんて泣きついてるのもいるよ。

オレも含めてどうにか契約を更新したスカウトたちは、束の間のオフに入る。来年1月上旬の新人合同自主トレを視察するまでは、体を休め、英気を養う。2月のキャンプでも新人を見に行くわけだし、中旬からは大学生や社会人のキャンプも始まるからね。そこから秋のドラフトまでほとんど無休だから、いまのうちに家族サービスもするわけさ。

何しろシーズン中は四六時中、あちこち飛び回ってるからね。他球団のスカウトの中には、留守中にカミさんが男作って出て行っちゃったなんてケースもあるみたいだからね。オレもたまには女房と旅行にでも出掛けようかって思ってるんだ。

それでもウチは部長が厳しいからね。たまたま部長に会った時、「オフの間に担当の大学野球部監督と食事してパイプを太くしておきます」なんて殊勝なことを言ってみせたわけ。そしたら「バカなこと言うんじゃない。オフは余計なことを考えず、ゆっくり休め。とにかく家族を大事にしろ!」ってさ。

こっちは口だけのつもりなのに、真顔でそんなこと言われたから拍子抜けしたけど、これで安心してノンビリできるってもんだ。さては部長もよっぽど痛い目に遭った経験があるのかな。今度会ったら突っ込んで聞いてみようっと。



draftkaigi at 06:52|この記事のURL

覆面スカウト奮闘記、ダイヤの原石を探せ(18)

2014年12月07日

12/8、日刊ゲンダイ27面「覆面スカウト奮闘記18」より
親が親なら子も子とはよく言ったもんさ。新人選手の入団発表と前後して、各球団は選手の親御さんを交えた食事会を開く。フロント幹部やスカウトが、新人全員とその親御さんたちを招待してメシを食うんだ。中にはとんでもない親もいるよ。

何年か前の話だ。ウチは球団社長や代表はもちろん、スカウトたちも全員スーツで出席。もてなす側だから当然と言えば当然だけど、招かれる側もフツーはそれなりの格好をしてくる。上着くらいは着てくるもんだ。

けれども、その年のドラフト2位、高校生野手の両親は違った。父親は背中に派手な刺しゅうが入ったスタジャンにスニーカー、母親はスーツはスーツでも場末の安スナックのチーママが着てるみたいな下品で真っ赤なやつさ。どう見ても暴走族がそのまま夫婦になったって風体だから、目立つのなんの。

オレも目が点になったよ。他の選手の両親たちもそれとなく遠巻きにしてたっけ。社長が挨拶したって、両親とも聞いてやしない。2人してソッポ向き、タバコふかしてた。担当の同僚は穴があったら入りたいってあんばい。大きな体を小さくして、社長や代表に「すみません」って頭を下げてたな。

スカウトは選手を獲得する際、所属する学校や企業の責任者に調査票を書いてもらう。以前は親の職業って欄があったのに、最近はないんだ。個人情報だか何だか知らないけどさ、親がヤクザとか、変なウワサがあれば後々、面倒になるかもしれない。そういう可能性があれば、警察の関係者や様々なルートを使って詳しく調べるよ。そうじゃなくて、「会社員」と言われたら、たいていそれ以上、突っ込めない。

入団発表前の仮契約に立ち会ったウチの部長が件(くだん)の父親に職業を尋ねたら、「オレの仕事なんてどーでもいいじゃないスか」って言われたらしいよ。部長もまずいのを指名しちゃったなって、さすがにまいったんじゃないか。

案の定、その野手はサッパリどころか、とんでもなかった。二軍の本拠地の試合のある日、練習が始まっても、試合直前になってもグラウンドに出てこない。突然、体調が悪くなったなんてこともあるからね。心配した二軍首脳陣がマネジャーに呼びに行かせると、寮の自分の部屋でマンガ本を読んでたんだ。

さすがにキレたマネジャーが「何をやってるんだ!」って怒鳴りつけると、「面白くて、つい・・・」ってヘラヘラしてたらしい。5年もたずにクビさ。今年は入団会見の後に食事会があったけど、そういう親御さんがいなくてホッとしたね。



渡辺久信(1983西武1位)の入団会見にヤンキー姉さん(実姉)が出席した事件もありました(笑)
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仰天ドラフト1位、ヤンキー姉さん同席の渡辺久信




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覆面スカウト奮闘記、ダイヤの原石を探せ(17)

2014年11月23日

11/24、日刊ゲンダイ24面「覆面スカウト奮闘記17」より
ドラフトでオレが担当したのは隠し玉の野手。その選手に7000万円の契約金を出すと言ってきた球団もある。ウチは部長が必ず指名するという言質を与えたにせよ、監督には他球団が敬遠するような情報を吹き込んでもらった恩がある。むしろ色をつけて当然なのに、部長は4500万円で話をつけて来いってムチャを言う。

とりあえず仮契約を済ませてしまえばこっちのものと、統一契約書持参で選手の合宿所に向かったけど、「契約金4500万円、年俸1000万円」の条件を伝えた途端、選手より監督の顔色が変わったよ。

「えっ・・・7000万円って言ってきたチームもあるんですから、もうちょっと何とかならないんでしょうか?」。監督がこう言った次の瞬間、選手の顔色が変化したから、今度はこっちがびっくりだ。おそらく監督は7000万円の話を選手に伝えていなかったんだろう。だから本人も驚いたに違いない。

それでピンときた。監督は選手の目の前で条件を上積みすることで、選手から契約金の上前をはねるつもりなんじゃないかってね。選手がプロ入りする場合、契約金の中から世話になったという意味の謝礼を監督に渡すケースは今もある。相場があるのかないのかも定かじゃないが、だいたい5~10%だと聞いた。

10%だとすると、今回は4500万が5000万円になれば、上乗せ分はすべて監督のフトコロに入ることになる。「そこを何とかお願いしますよ。球団の評価は当初4000万円。そこで頭を下げて500万円上乗せしたんですから、なんとかオレの顔を立ててくれませんか?」

こう言ったものの、選手より監督が首をタテに振らない。「契約金がムリなら、年俸に上乗せできませんかね?」。それでも選手が7000万円の話を知らなかったことが幸いした。知ってたら監督と選手がその球団とグルになって最後までごねた可能性があるからね。

そうじゃないと知ったオレは2度、3度と合宿所に足を運び、選手自身のプロ志向を直接、くすぐったよ。

そして4回目。「今回が最後です。ウチの評価はどこまでいっても変わりません。これで納得いかなければ今年のプロ入りはあきらめてもらうしかありません」と最後通告した上で、選手の目を見ながら、「でも、プロに行きたいんでしょ?。いますぐ上の世界で自分の力を試したいんでしょ?。お金はプロに入ってから稼げばいいんじゃない?」と水を向けたんだ。

選手がコクリとうなずいて、統一契約書の右下にサインして押印、仮契約が終わった瞬間の達成感はなんとも言えなかったね。



draftkaigi at 09:30|この記事のURL

覆面スカウト奮闘記、ダイヤの原石を探せ(16)

2014年11月09日

11/10、日刊ゲンダイ25面「覆面スカウト奮闘記16」より
「子供の使いじゃねーんだぞ!」。部長の怒鳴り声にビックリして、思わず持ってたケータイを落としそうになったよ。ドラフトで隠し玉の野手を担当。契約金の額まで伝えて割り込んできた球団があったけど、監督に「肉離れがクセになっている」と吹き込んでもらったこともあって、なんとか指名できた。

ホッと一息つけたのも束の間、オレたちの仕事はこれで終わらない。入団交渉だよ。上位指名選手は契約金や年俸の相場が決まっているものの、3位以下の選手はそうじゃない。高校生か大学生か社会人か、あるいは球団によっても金額は違ってくる。

特にオレが担当した野手のように、監督の力を借りて結果として囲ったような選手は難しい。ドラフトで間違いなく指名するという部長の言質があったにせよ、多少の色をつけるっていうか、誠意はやっぱり必要だ。なにしろ割り込んできた球団は、ウチは7000万円出すって言ってたほど。

そこまで出せとは言わないまでも、5000万円くらいは何とかしてほしいと思って部長に電話したら、「バカヤロー!。その順位で出せるわけがねーだろ!。4500万円、4500万円でまとめてこい。それ以上は一切出さないからな!」って、受話器の向こうでものすごい剣幕だ。

「そう言いますけど、今回は監督にも骨を折ってもらってますし・・・少しくらいは・・・」。色をつけてくれてもいいんじゃないですか、と言おうとしたとたん、冒頭のセリフだ。「そこを何とかうまくやるのがおまえの仕事だろう!」って、またお目玉だよ。

ドラフト直後、優しい言葉で労をねぎらってくれたあの部長はどこに行ったんだと思ったね。柄にもなく泣いちゃったけど、あの時のオレの涙を返せって言いたいよ(笑い)

そうとなったら一日も早く仮契約を済まさなきゃならない。ウチは無尽蔵に金を出せるどっかの球団と違うからね。交渉が終わった選手から順番に契約金と年俸が新聞に載る。どこそこの球団は同じ順位なのにこれくらいもらってるなんて言い出す前にサインさせなきゃならない。指名あいさつに統一契約書を持参してその場で仮契約、サインと印鑑をもらっちゃうケースも多い。

それでも4500万円ってのは、ちょっと安いよな。7000万円って言ってきた球団もあったんだぜ。球団の予算は4000万円だけど、頼み込んで500万円上乗せしてもらったって切り出そう。そう決めて所属チームに向かったけど、足取りは重いよ。



2014ドラフト、12球団の交渉状況はこちら



draftkaigi at 07:38|この記事のURL

覆面スカウト奮闘記、ダイヤの原石を探せ(15)

2014年10月26日

10/27、日刊ゲンダイ21面「覆面スカウト奮闘記15」より
うれしいというか、ホッとしたね。23日のドラフトで、オレの担当する野手が指名されたんだ。長いこと、この稼業をやってるけど、やっぱり自分の担当する選手の名前が呼ばれた時の気持ちは、言葉で言い尽くせない。球団の控室で思わずガッツポーズ。周囲の同僚も喜んでくれたっけ。

それもフツーの選手じゃない。実は前回のコラムで書いた「隠し玉」さ。ウチ以外に目を付けた球団もなく、しめしめと思ってたら、ドラフト2週間前になって突然、別の球団が割り込んできた。

所属チームの監督に頭を下げて、その球団のスカウトには「実は太もも裏の肉離れがクセになっていて、2、3日前にまたやった」と言ってもらったんだけど、簡単には降りてもらえなかった。チームの編成責任者までグラウンドに足を運び、これくらいは出せるって契約金の話までして帰ったっていうんだから。

ウチはカネの話はしないよ。監督とのコネで出来レースに持ち込んでも、カネで釣ろうとすればカネでひっくり返される可能性がある。だからドラフト前に契約金を伝えることはしない。その代わり、足を運んだ部長が合格点をつけたらドラフトで必ず指名するって所属チームの監督とか選手に約束してもらうんだ。

これは効くよ。ドラフト候補ってのはチョウよ花よともてはやされても、実際に指名されるまでは不安なんだ。明らかな上位候補はともかく、そうでない選手は本当に指名してもらえるのかどうか、フタを開けるまで気が気じゃない。だからこそ部長が直接出向いて指名すると約束することは、最高の誠意になる。仮に指名しなかったら信用問題だからね。

結局、割り込んできた球団は契約金の額は伝えたけど、指名の保証をしたり、指名順位を伝えたりまではしなかったみたい。ただ、ドラフト後に聞いたところでは、ウチよりひとつ下の順位で取るつもりだったっていうからホント、冷や汗ものだよ。

かく言うオレも最後の最後まで、部長が本当に約束を守ってくれるかどうか不安だったな。なにしろタヌキだからね。ドラフト後に「事情が変わった。後でフォローしておいてくれ」なんて言われたら目もあてられない。その選手の名前が呼ばれ、安堵したのは無理もないだろ。

ドラフト後、控室に戻ってきた部長から「おまえもよく頑張ったな」って握手された時は、ガラにもなく涙が出たよ。

スカウトはやっぱり自分が担当する選手を取ってナンボ。ドラフト後の1年間は新たな原石を探す一方、取った選手の活躍を追い掛けることができる。担当する選手をひとりも取ってもらえなかった翌年はそりゃむなしいもんさ。



記事に「うちの部長はなにしろタヌキだからね」とありますが、タヌキといえば楽天の部長。「ドラフト1位は岡本か有原」と報道陣に明言していたみたいで、おかげでスポーツ紙の予想は大外れ こちら

まさかの安楽1位指名に、「それはないだろ・・・」と某スポーツ紙に取材した記者の嘆きの記事がありました。(笑)

日ハムの山田GMもタヌキですね。大谷がメジャー挑戦を表明するちょっと前、こんなこと言ってました。

「(今後の進路の可能性は)メジャーが7割、国内3割みたいだね。(メジャーに決まっても強行指名には)行かないでしょう。そういう意思はこちらから変えられないことだから。菅野の場合とは違う」(日本ハム・山田GM)


ドラフトはキツネとタヌキの化かし合い。そこが面白いわけで、来年もあっと驚く指名を期待しています。



draftkaigi at 08:43|この記事のURL

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