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巨人、松坂大輔を3位指名で入団させる裏工作やっていた

2017年10月22日

10/23、日刊ゲンダイ39面「小倉清一郎の鬼の秘伝書」より

1998西武ドラフト位 松坂大輔
横浜高・投手・18歳

ドラフトが26日に迫った。この時期になると、教え子と指名を待ったことを思い出す。一番はやはり、甲子園春夏連覇でフィーバーの真っただ中にいた松坂大輔(1998西武1位)だろう。松坂は横浜ベイスターズ(現DeNA)と相思相愛だった。その年は練習場を借りるなど、恩義もあった横浜に入団して欲しいと思っていた。

事前にプロ側には「横浜以外なら社会人」と伝えていたが、私は個人的に別の考えでいた。例えば、日本ハムの担当・山田正雄スカウト(現スカウト顧問)と私は同い年でもあって仲が良く、彼から「松坂を指名したら来てくれる?」と聞かれたので「もちろん」と答えていた。

巨人は逆指名で大体大の上原浩治と近大の二岡智宏の1位、2位が内定していた。それでも当時の長嶋茂雄監督の「松坂も欲しい」との意向で、巨人の関係者にこう頼まれる。「巨人に3位で行くから、それ以外はプロ入りしませんと公言してください」

私は長嶋監督のファン。が、この申し出にはこう返答するしかない。「長嶋監督に認めてもらって光栄ですが、それは無理です。松坂は1位の投手ですよ。それを3位でなんて言えません。松坂か上原かという話ではないんですか? 松坂が欲しければ1位で指名してください」

結局、1位指名は横浜、日本ハム、抽選で交渉権を得た西武の3球団だった。実は西武だけは10月の国体の後に急きょ参戦した球団で、事前に連絡もなかった。松坂本人はもちろん、渡辺元智監督、部長だった私の誰もが驚いた指名だった。

ロッテに6位で指名された成瀬善久(ヤクルト)も思い出深い。当初は中日が興味を示してくれたが、スピードがないため、指名は難しそうだという。渡辺監督も「いきなりプロは無理じゃないか」との意見。

ただ、連投が多く、肩を酷使する大学の方が無理だと思った私は、当時のロッテの飯塚佳寛スカウトに「7、8勝はするから、下位でいいからだまされたと思って取ってくれ」と頼み込んだ。成瀬は後に最優秀防御率のタイトルなどを取るロッテのエースに成長した。

こんな話もある。高校生のドラフト対象選手は、車の運転免許取得のため、教習所に通うことが多い。しかし、横浜高は最近まで校則で禁止されていたため、松坂はプロ入り後に取得することになる。西武に1位指名された涌井秀章(ロッテ)は、それでも隠れて通った。私も免許を失効していて同時期に教習所に通っていた。

最終学科試験の結果は、涌井が「92点」で私が「94点」。「オレの方が頭が良かったな」と言うと、涌井は頭をかいて苦笑いしていた。



上の記事は「松坂大輔の育ての親」として有名な小倉清一郎氏(元・横浜高野球部部長)が書いたものです。

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draftkaigi at 07:01│ │巨人 | ドラフトのウラ話
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