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スカウトの逆襲、プロ入り後に評価急落の高校生

2023年01月30日

1/30、日刊ゲンダイ37面「スカウトの逆襲」より
「もう少し、バットスイングは鋭くてもいいんじゃないか?」、「ま、守りが良くて取ったって聞いたけど、それにしちゃ、スローイングもグラブさばきもいまひとつだな」

先日のこと。スタッフミーティングのついでか、コーチ数人が新人の合同自主トレを遠目に見ながらこんな話をしていた。彼らの視線の先には、オレが担当した高校生内野手がいたから、まったく気が気じゃなかったよ。

そもそもオレは、それほど高く評価していたわけじゃない。学校での練習を1回、練習試合を1回チェックして、高校生にしちゃ、足と肩がまあまあだった。なのでリポートには「育成でどうか」って書いたんだ。

ところが、部長やエライさんが見に来た昨夏の地区大会で大活躍。本塁打を打ったうえに、遊撃手としてファインプレーを連発したもんだから、エライさんなんて小躍りしながら、「これは5位以内では取らないと。他球団も見ているし、育成まで残ってませんよ」なんて大はしゃぎさ。

結局、ウチがドラフト下位で指名。担当スカウトはもちろんオレさ。コーチたちにはくだんの高校生内野手が、よほど物足りなく映ったんだろう。しまいにはオレにも聞こえるような声で、「ちょっと厳しいんじゃないか……」って言い出した。

さすがに担当スカウトとして無視するわけにいかない。“オレは育成でどうかと思ったんだけど、上のエライさんたちが……”って、ここまで出かかったけど、「まだ、自主トレじゃないですか。キャンプが始まれば多少は変わってきますから、長い目で見てやってくださいよ」って、コーチたちには言っておいたんだけど、変わる保証はどこにもない。

さすがに不安になって練習の合間、高校生内野手と話をして愕然としたよ。部長やエライさんたちが惚れ込んだ昨夏の地区大会が終わると同時に野球部も引退、ドラフトで指名されるまで練習はおろか、ほとんど体を動かしてなかったって言うんだから。

「同級生たちとノンビリしたり、遊びに出掛けたり……なにしろ去年の夏まで野球漬けだったもんで……」。プロに入ってからが勝負と考えている甲子園常連校の選手と、そうでない選手とではスタート地点の意識からして雲泥の差がある。

「いろいろと言いたいこともあるだろうけど、アイツの担当はあくまでもおまえだからな」。もうじきキャンプインだというのに……そばにいた部長から声を掛けられて、いよいよ憂鬱になったね。



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draftkaigi at 06:32│ │高校 
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