2023夏の甲子園、優勝校予想(日刊ゲンダイの見解)
2023年08月01日

全国各地で行われた高校野球の地方大会。30日は2大会で決勝があり、大阪では履正社が3連覇を狙う大阪桐蔭を3-0で破り、全国制覇した2019年以来、4年ぶり5回目の代表切符を手にした。東東京は共栄学園が九回2死から7得点を奪う大逆転劇で春夏を通じて初の甲子園出場を決め、全49校が出そろった。
今春センバツで優勝した山梨学院、同準優勝の報徳学園、同4強の大阪桐蔭が敗退。智弁和歌山が初戦で姿を消すなど、全国的に波乱が目立った一方で、仙台育英、専大松戸、沖縄尚学など11校が春夏連続出場を決めた。ズバリ、この夏を制するのはどこか。高校野球に詳しい専門家3氏と日刊ゲンダイが徹底予想した。
高校野球雑誌「ホームラン」元編集長の戸田道男氏は「智弁学園(奈良)を推します」とこう続ける。
「奈良大会全5試合51得点で、チーム本塁打数は19年の大会記録の12に並んだ強力打線が武器。打線を引っ張る松本大輝(3年)は打率.625。投手も藤田健人(3年)と中山優月(3年)の二枚看板が安定しています。最近は大事な試合で天理に負けることが多く、今春のセンバツには出られませんでしたが、春の近畿大会では大阪桐蔭を倒して優勝。今年に入ってチーム力が上がってきました」
「補欠のミカタ レギュラーになれなかった甲子園監督の言葉」(徳間書店)など高校野球関連の著書が多数あるスポーツライターの元永知宏氏は「広陵(広島)」を挙げる。
「4強だったセンバツからエースの高尾響(2年)が良くなりました。広島大会は準決勝まで27回を投げて無失点、四死球ゼロ。決勝は2失点完投で10奪三振。球威も安定感も増した。『広陵のボンズ』こと今秋ドラフト1位候補の真鍋慧(3年)は今大会、通算20打数5安打1本塁打5打点といまひとつでしたが、17年大会で中村奨成(現広島)が1大会の個人最多本塁打記録の5本を更新したように、真鍋が甲子園で爆発すれば、悲願の夏初優勝も見えてきます」
アマチュア野球に詳しいスポーツライターの美山和也氏はこう見る。「イチオシは愛知3連覇を果たした愛工大名電です」とこう続ける。
「中京大中京との強豪対決となった決勝で、エースの笹尾日々喜(3年)が、四回に自ら逆転打を放つと、八回の打席では一塁にヘッドスライディング。九回の投球時は打球が直撃したのに3失点完投。気迫がすごい。決勝で適時打を放った4番の寺田純平(3年)は、初戦でリードを許す展開だった大府戦で、九回2死から起死回生の逆転打を放った。チームとしても準々決勝で享栄の世代屈指左腕・東松快征(3年)を打ち崩すなど底力がある。寺田は『ベスト8だった昨年以上』という目標を掲げていて優勝を狙っています」
本紙が推すのは履正社(大阪)だ。関西の球界関係者がこう言った。
「左腕の福田幸之介(3年)がこの日、大阪桐蔭打線を3安打無失点で完封。大阪大会で背番号1を背負った増田壮(3年)との左腕二枚看板は強力。大本命だった大阪桐蔭を倒して勢いに乗っています」
対抗、穴はどこか。
「慶応(神奈川)です。センバツで優勝候補の仙台育英と延長の激戦を戦って自信を深めたように見えます。神奈川大会決勝で九回に横浜を大逆転した勢いもある。そして応援力です。大学仕込みの慶応のブラスバンドは迫力があって、センバツ時に強豪の仙台育英の選手でさえ面食らっていた。甲子園では大きなアドバンテージになるのは間違いありません」(元永氏)
「追うのは浦和学院(埼玉)ではないか。好投手を複数擁す投手力と3番・喜屋武夢咲(3年)を中心とした打線は切れ目がない。なにより決勝で宿敵の花咲徳栄を倒したこと。埼玉では『夏は徳栄に勝てない』と揶揄されてきましたから。同校OBで巨人などでプレーした三浦貴コーチが45歳で急逝したことも、何か後押しがある気がします」(戸田氏)
美山氏はどう見るか。
「花巻東(岩手)です。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(3年)の後を打つ主将の千葉柚樹(3年)の調子がいい。今年のチームは打線に切れ目がなく、投手力もしっかりしている。決して麟太郎ワントップのチームじゃないのが、台風の目に挙げる理由です」
開幕は8月6日だ。

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│甲子園大会展望